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暗号資産は将来性ない?今買うべきを徹底解説

暗号資産(仮想通貨)の世界は、熱狂的な支持と懐疑的な見方が交錯する、まさに評価の分かれる領域です。一部では「未来の金融システム」として大きな期待が寄せられる一方で、「本質的な価値がない」「危険な投機対象」といった厳しい意見も後を絶ちません。暗号資産の将来性について、ネガティブな側面とポジティブな側面双方から深掘りし、多角的な視点からその可能性を検証します。

目次を表示

I. 暗号資産には将来性がないと言われる理由

暗号資産の将来性に対する懐疑論は、主に以下の6つの理由に集約されます。これらの懸念点を1つずつ詳細に見ていきましょう。

A. 理由① 価値の裏付けがなく価格変動が激しすぎる(ボラティリティ)

暗号資産が「将来性がない」と言われる最大の理由の1つは、その価格の極端な変動、すなわちボラティリティの高さにあります。株式が企業の業績や資産に、法定通貨が国や中央銀行の信用力に裏付けられているのに対し、多くの暗号資産には明確な「本源的価値」が存在しないと指摘されています。このため、その価値評価は極めて主観的になりやすく、市場心理に大きく左右される結果、価格が乱高下する傾向にあります。

ビットコインのような代表的な暗号資産でさえ、国や中央銀行の信用によって価値が担保されているわけではありません。このような伝統的な価値評価の基盤がないため、暗号資産が過剰に買われているのか、あるいは売られているのかを客観的に判断することは困難です。結果として、投資家はしばしばメディア報道などに煽られた市場の感情に頼らざるを得ない状況に置かれます。暗号資産の価値は、通貨としての有用性やユーザーによる採用、数学的な特性などに由来するとも説明されますが、多くの暗号資産にとって、その有用性はまだ発展途上です。

このような高いボラティリティは、いくつかの要因によって増幅されています。第一に、前述の本源的価値の欠如が挙げられます。第二に、世界的な規制の枠組みが未成熟であるため、市場操作の余地が残り、価格変動を助長しています。第三に、歴史的に機関投資家の本格的な参入が限定的であったことも一因です。保証の欠如や規制の不確実性から、大規模な資金を持つ機関投資家は慎重な姿勢を取らざるを得ず、市場の厚みが不足していました。さらに、取引可能な暗号資産の多くが取引所の注文板ではなく個人のウォレットに保管されているため、注文板が薄くなりやすく、大口の取引によって価格が大きく動きやすい状況も指摘されています。

この激しい価格変動は、暗号資産が安定した価値の保存手段や日常的な決済手段として広く受け入れられる上での大きな障害となっています。結果として、投機的な側面が強調されがちです。

しかし、このボラティリティの問題も、市場の成熟と共に変化していく可能性があります。より多くの規制が整備され、投資家の層が多様化し、決済サービスなど実用的な用途が拡大することで、市場は安定に向かうと期待されています。暗号資産市場が成熟期に入れば、ボラティリティは徐々に低下していくという見方が一般的です。このプロセスは、初期の株式市場など、他の新しい資産クラスが辿ってきた道筋と類似しているかもしれません。つまり、現在の高いボラティリティは、暗号資産がまだ黎明期から成長期への過渡期にあることの現れとも解釈できます。

一方で、個々の暗号資産のボラティリティは高いものの、複数の暗号資産を組み合わせた分散投資ポートフォリオを組むことで、リスク調整後のリターンを改善できる可能性も示唆されています。これは、各暗号資産間の価格変動の相関性が比較的低い場合があるためです。

B. 理由② ハッキング・詐欺・犯罪利用のリスクが消えない

暗号資産の普及を妨げるもう1つの大きな要因は、ハッキング、詐欺、そしてマネーロンダリングなどの犯罪への利用といったセキュリティリスクが依然として解消されていない点です。デジタル資産であるという性質上、これらのリスクは常に付きまといます。

過去には取引所を狙った大規模なハッキング事件が数多く発生し、巨額の資金が盗まれています。たとえば、Ronin Networkから約6億2000万ドル、Poly Networkから6億ドル以上、Binanceから5億7000万ドル、そして日本のCoincheckからは5億3000万ドル相当以上のNEMが流出しました。FTXやMt. Goxのような大手取引所の破綻やハッキング事件は、投資家の信頼を大きく損なう結果となりました。これらの事件の原因としては、異なるブロックチェーン間で資産を移動させる「ブリッジ」機能の脆弱性や、インターネットに常時接続された「ホットウォレット」の管理不備、さらにはスマートコントラクトの脆弱性などが挙げられます。

主要な暗号資産ハッキング事件の概要

事件名発生年被害額(推定)プラットフォーム種類主な原因・脆弱性回復・補償状況
Ronin Network2022年6億2000万ドルブリッジプライベートキーの侵害、バリデーターノードの掌握全額返金
Poly Network2021年6億1000万ドルクロスチェーンスマートコントラクトの脆弱性ほぼ全額返還(ハッカーによる)
Binance (BNB Chain)2022年5億7000万ドルブロックチェーンクロスチェーンブリッジの脆弱性一部凍結、損失補填
Coincheck2018年5億3000万ドル取引所ホットウォレットでのNEM管理、セキュリティ不備被害者へ日本円で補償
FTX2022年4億7700万ドル取引所破産申請後の不正アクセス顧客への補償は不明瞭
Mt. Gox2014年4億6000万ドル取引所長期間にわたる不正アクセス、内部管理体制の不備一部債権者への弁済手続き進行中

参考:最大被害額800億円超え、仮想通貨ハッキング被害ランキング | NordVPN

上記以外にも多数のハッキング事件が発生しており、その手口は巧妙化しています。

また、「ラグプル」と呼ばれる詐欺も横行しています。これは、プロジェクト開発者が初期投資家を誘い込んで資金を集めた後、プロジェクトを放棄して資金を持ち逃げする行為で、とくにDeFi(分散型金融)やNFT(非代替性トークン)の分野で被害が報告されています。たとえば、BNBチェーンでは、その創設以来、ハッキングとラグプルによって多額の資金が失われています。

さらに、暗号資産はその匿名性や送金の容易さから、マネーロンダリングなどの犯罪に利用されやすいという側面も持っています。犯罪者は、不正に得た暗号資産を多数のウォレットに分散して送金を繰り返したり、匿名性の高いプライバシーコインを含む複数の暗号資産と交換を繰り返したりすることで、資金の追跡を困難にしようとします。本人確認(KYC)が緩い、あるいは不要な海外の取引所を経由することで、さらに特定が難しくなるケースもあります。

これらのセキュリティリスクは、技術の進歩と共に新たな手口が生まれる「いたちごっこ」の様相を呈しています。DeFiやクロスチェーンブリッジのような新しい技術分野では、イノベーションの速さにセキュリティ対策や監査が追いつかず、新たな攻撃対象が生まれているのが現状です。The DAO事件やRonin Networkのハッキングは、その典型例と言えるでしょう。また、多くのユーザーにとって利便性の高い中央集権型の取引所は、巨額の資産が集中するためハッカーの格好の標的となり、CoincheckやMt. Gox、FTXのような大規模な事件を引き起こす一因となっています。一方で、自己管理型のウォレットはユーザー自身のセキュリティ意識と知識に依存するため、秘密鍵の管理ミスなどが資産喪失に直結するリスクも抱えています。

これらの問題が解決されない限り、暗号資産が社会の広範な信頼を得て普及するには、依然として高いハードルが存在すると言わざるを得ません。

C. 理由③ 世界的な規制強化で「終わりの日」が来る?

暗号資産市場の拡大とそれに伴うさまざまな問題の発生を受け、世界各国の政府や金融当局は規制を強化する動きを見せています。一部では、この規制強化が暗号資産市場の「終わりの日」をもたらすのではないかという懸念も聞かれます。

規制導入の主な動機は、投資家保護(詐欺、価格操作、ハッキング被害からの保護)、マネーロンダリングやテロ資金供与といった金融犯罪の防止、そして金融システム全体の安定性維持です。とくに、Mt. GoxやFTXのような大規模な取引所の破綻は、利用者保護の必要性を強く印象づけました。

しかし、各国の規制アプローチは一様ではありません。日本は比較的早くから暗号資産交換業者に対する登録制を導入し、投資家保護やマネーロンダリング対策(AML)を進めてきました。アメリカでは州によって法規制が異なりますが、国全体としては交換業者の登録制を導入し、証券取引委員会(SEC)や商品先物取引委員会(CFTC)などが監督を強化しています。ヨーロッパでも、ドイツやフランスなどが国レベルでの規制整備を進めており、シンガポールや香港ではライセンス制度や顧客資産の分別管理が求められています。

一方で、中国のように暗号資産の取引やマイニングを全面的に禁止する国も存在します。

規制の焦点となっているのは、主に以下の分野です。

規制強化は、市場に二つの側面から影響を与えます。過度に厳格な規制はイノベーションを阻害し、企業を規制の緩い国へ追いやる可能性があります。規制の不確実性自体が市場の重荷となることもあります。しかし、明確で適切な規制は、市場に透明性と信頼性をもたらし、機関投資家の参入を促す触媒となり得ます。実際にアメリカでは、大手金融機関によるカストディ業務(暗号資産の保管・管理サービス)への参入が、機関投資家の市場参加を後押ししたとされています。この観点から見れば、規制は暗号資産市場が成熟し、より広範な投資家層に受け入れられるための必要なステップと言えるでしょう。

暗号資産は国境を越えて取引されるため、各国がバラバラに規制を進めるだけでは十分な効果が得られず、規制の緩い地域を悪用する「規制のアービトラージ」が生じる可能性があります。そのため、トラベル・ルールのような国際的な基準の策定と、各国間での協調した取り組みが不可欠です。

結論として、一部の国を除き、規制強化が直ちに暗号資産の「終わりの日」を意味するわけではないと考えられます。むしろ、多くの国では、イノベーションを過度に抑制することなく、投資家保護と市場の健全性を高めるバランスの取れた規制のあり方が模索されています。その意味で、規制の動向は暗号資産の将来を左右する重要な要素であり続けるでしょう。

D. 理由④ 技術的な課題が多く、実社会で「普及しない」

暗号資産、とくにビットコインのような初期のものは、スケーラビリティ(取引処理能力)やユーザーにとっての使いやすさといった面で技術的な課題を抱えており、これが実社会での広範な普及を妨げているという指摘があります。

ビットコインのブロックチェーンは、約10分間に1MBというブロックサイズの制限があり、1秒間に処理できる取引件数は約7件程度とされています。これは、1秒間に数千件の取引を処理できるクレジットカードの決済システム(例:VISA)と比較すると著しく劣ります。取引が集中すると、ネットワークが混雑し、取引の承認に時間がかかったり、送金手数料(マイナーへ支払う手数料)が高騰したりする問題が発生します。これにより、少額決済など日常的な支払い手段としての利用は現実的ではありません。

イーサリアムも同様に、DeFi(分散型金融)やNFT(非代替性トークン)の利用が拡大するにつれて、ネットワークの混雑によるガス代(手数料)の高騰や処理速度の低下といったスケーラビリティ問題に直面してきました。

これらの技術的な課題は、ブロックチェーンが持つ「分散性」「安全性」「スケーラビリティ」の3つの要素を同時に高いレベルで達成することの難しさ、いわゆる「ブロックチェーンのトリレンマ」を反映しています。ビットコインは分散性と安全性を重視した結果、スケーラビリティが犠牲になっていると言えます。

さらに、一般ユーザーにとっての使い勝手の悪さも普及の障壁となっています。暗号資産を自己管理するためにはウォレットの作成や秘密鍵の管理が必要ですが、これらの概念や操作は専門知識がないユーザーにとっては難解です。秘密鍵を紛失すれば資産にアクセスできなくなるというリスクも伴います。また、暗号資産の取引は一度実行されると基本的に取り消しができないため、誤送金などのヒューマンエラーが致命的な結果を招く可能性もあります。

これらの技術的なハードルや使い勝手の問題が解決されない限り、暗号資産が一部の技術愛好家や投資家だけでなく、一般の人々にまで広く利用されるようになるのは難しいでしょう。スケーラビリティ問題の解決策として期待されるレイヤー2技術(後述)なども、最終的にはシームレスなユーザー体験を提供できなければ、その効果は限定的です。たとえ基盤技術が向上しても、一般ユーザーが直感的に、かつ安全に利用できる環境が整わなければ、「最後の1マイル」で普及が滞ってしまう可能性があります。

E. 理由⑤ 環境への負荷(電力問題)が大きすぎる

ビットコインをはじめとするプルーフ・オブ・ワーク(PoW)を採用する暗号資産のマイニング(採掘)プロセスは、膨大な電力を消費し、地球環境への負荷が大きいという批判が絶えません。この環境問題は、とくに企業のESG(環境・社会・ガバナンス)投資の観点から敬遠される要因となっています。

ビットコインのマイニングは、複雑な計算問題を解くことで新たなブロックを生成し、その報酬としてビットコインを得る行為ですが、この計算には高性能なコンピュータを大量に稼働させる必要があり、莫大な電力を消費します。ある試算によれば、ビットコインネットワーク全体の年間電力消費量は、一国全体の電力消費量に匹敵する規模に達しており、世界全体の電力消費量の約0.5%を占めるとも言われています。ビットコインの1取引あたりの電力消費量は約1,000kWhで、これはVISA決済の100万倍に相当するとも指摘されています。さらに、水の消費量も無視できず、2020年から2021年にかけてのビットコインマイニングにおけるウォーターフットプリントは65立方キロメートルに達し、これはサハラ以南アフリカの農村部に住む3億人以上の生活用水使用量を上回るとの報告もあります。

このような大量のエネルギー消費は、PoWというコンセンサスアルゴリズムの仕組み上、本質的に避けがたいものです。そして、マイニングに使用される電力の多くが、依然として石炭火力などの化石燃料に由来している場合、二酸化炭素排出量の増大を通じて地球温暖化を加速させるという懸念が生じます。

この環境負荷の大きさは、ESG投資を重視する機関投資家や企業にとって、ビットコインなどのPoW型暗号資産への投資を躊躇させる大きな理由となっています。実際に、ビットコインETFの目論見書にも、マイニングによる環境への影響が広く認知されることで、ビットコインの需要減少やマイニング規制が起こり、結果としてビットコインネットワークの安全性が低下し、価値保存手段としての存続可能性が損なわれるリスクが記載されています。

この問題の核心には、「暗号資産が生み出す価値は、その莫大なエネルギー消費を正当化できるのか」という根本的な問いがあります。一部では、検閲耐性を持ち、世界中の誰もがアクセスできる安定した決済システムを持つことの価値は計り知れないと主張される一方、投機以外の実用的な用途が限定的である現状を鑑みれば、許容できない環境コストであるという批判も根強くあります。

イーサリアムがプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へと移行し、エネルギー消費量を劇的に削減したことは、PoW型暗号資産に対する風当たりを一層強める可能性があります。PoW型暗号資産がこの環境問題に真摯に向き合い、再生可能エネルギーの利用拡大や技術革新による効率化を進めなければ、社会的な受容性はますます低下し、規制強化や投資離れに繋がる可能性も否定できません。

F. 理由⑥ 「草コイン」のほとんどは無価値になる現実

暗号資産市場には、ビットコインやイーサリアムのような主要な銘柄以外に、無数の「草コイン(くさコイン)」あるいは「シットコイン」と呼ばれるアルトコインが存在します。これらは時価総額が非常に小さく、知名度も低いマイナーな暗号資産を指し、「時価総額〇〇万円以下」といった明確な定義はありません。

草コインは、一攫千金を夢見る投資家にとっては魅力的に映るかもしれません。時価総額が小さいため、何らかのきっかけで注目を浴びて投資資金が流入すると、主要な通貨よりもはるかに大きな価格上昇を見せることがあります。過去には、ドージコイン(DOGE)がSNSのインフルエンサーや著名人の発言をきっかけに短期間で150倍以上に高騰したり、柴犬コイン(SHIB)が1年間で約50万倍という驚異的な上昇を記録したりした事例も報告されています。

しかし、このような「夢物語」の裏には、極めて高いリスクが潜んでいます。草コインのほとんどは、しっかりとしたプロジェクトの実態や将来性が伴っておらず、その多くが無価値になるか、あるいは詐欺的なプロジェクトであるのが現実です。

草コイン投資の具体的なリスクとしては、まず「極端なボラティリティ」が挙げられます。ビットコインなどと比較しても価格変動が非常に激しく、1日で数十パーセント、時には数百パーセントも変動することが珍しくありません。短期間で大きな利益を得る可能性がある反面、投資資金の大部分を瞬時に失うリスクも常に伴います。

さらに深刻なのは、「Scam(詐欺)トークン」の存在です。とくに時価総額の低い草コインの中には、初めから投資家を騙すことを目的としたプロジェクトが紛れ込んでいます。代表的な手口としては、運営者が投資家から集めた資金を持ち逃げする「ラグプル」や、ユーザーのウォレットから不正に資金を抜き取るような悪質なトークンがあります。このような詐欺プロジェクトは後を絶たず、多くの個人投資家が被害に遭っています。

多くの場合、これらの草コインは、明確なユースケース(実用的な使い道)や技術的な裏付けを持たず、開発チームの実態も不透明で、プロジェクトの計画書であるホワイトペーパーも曖昧であったり、非現実的な内容であったりします。注目度が上がらなければ価格は低迷したままであり、一度投資家の関心が薄れると、主要な通貨以上の勢いで暴落し、取引量も極端に少なくなる(流動性が枯渇する)ため、売りたくても売れないという状況に陥ることも少なくありません。

草コインへの投資は、しばしば宝くじを購入するような心理状態で行われがちです。 ファンダメンタルズに基づいた慎重な投資判断よりも、短期的な急騰への期待が先行し、投機的な色彩が極めて強いと言えます。また、草コイン市場は情報の非対称性が大きく、プロジェクトの内部関係者や一部のインフルエンサーが価格を意図的に操作し、個人投資家を欺くような行為も横行しやすい環境です。

したがって、「これから伸びる草コイン」を探すという行為は、極めてハイリスクな投機であり、安易な投資は避けるべきです。もし草コインに投資する場合には、徹底的なリサーチと、失っても生活に影響のない範囲の資金で行うなど、最大限の注意が必要です。

II. 暗号資産の将来性を解説

前章では暗号資産に対する懐疑的な見方やリスクについて詳述しましたが、一方で、暗号資産の将来性を示唆する力強い動きや根拠も存在します。本章では、これらのポジティブな側面について解説します。

A. 将来性① 大手金融機関や企業の参入による信頼性の向上

暗号資産市場の将来性を示すもっとも顕著な動きの1つが、ブラックロックのような世界的な大手資産運用会社や、さまざまな分野の大手企業による市場への参入です。これらの動きは、暗号資産市場全体の信頼性を高め、成熟を促す重要な要因となっています。

特筆すべきは、ビットコインETF(上場投資信託)の承認と普及です。ETFは、株式市場で取引される投資信託であり、個人投資家や機関投資家が従来の証券口座を通じて、より手軽かつ安全にビットコインへ投資することを可能にします。米国証券取引委員会(SEC)によるビットコイン現物ETFの承認は、市場にとって画期的な出来事であり、ブラックロックをはじめとする大手金融機関が相次いでETFの申請・提供を開始したことは、機関投資家の本格的な資金流入への期待を大きく高めました。ETFの承認は、ビットコインの価値の安定化、市場の流動性向上、そして長期的には価格上昇に繋がる可能性があると見られています。過去には、ビットコイン現物ETF承認の「誤報」だけで価格が急騰した事例もあり、市場の期待の大きさが伺えます。

機関投資家の参入は、単に資金流入をもたらすだけでなく、市場インフラの整備や規制遵守の意識向上にも貢献します。カストディサービス(暗号資産の保管・管理)の充実や、より高度な取引ツールの開発が進むことで、市場全体の信頼性と安全性が向上し、さらなる投資を呼び込む好循環が期待されます。

また、金融機関だけでなく、一般企業による暗号資産の決済導入やサービス活用の動きも活発化しています。たとえば、日本の不動産大手オープンハウスグループは、主に海外顧客を対象として、不動産取引におけるビットコイン(BTC)およびイーサリアム(ETH)による決済を導入しました。これは、暗号資産が実世界の高額取引においても決済手段として認識され始めていることを示す一例です。

さらに、NFT(非代替性トークン)の分野では、高級ブランド(グッチ、ティファニーなど)がデジタルコレクティブルや新たな顧客体験の提供に活用したり、エンターテイメント企業(エイベックスなど)がメタバース空間でのファンとの交流やコンテンツ販売に利用したりする事例が相次いでいます。農業や食品業界、IT業界でも、NFTを活用したトレーサビリティ向上や新たなビジネスモデルの構築が進められています。

これらの大手金融機関や企業の参入は、暗号資産が単なる投機対象ではなく、実用的な価値を持つ技術や資産クラスとして認識されつつあることを示しています。規制の明確化と機関投資家の参入は、相互に影響し合いながら市場の成熟を促す「正のフィードバックループ」を生み出す可能性があります。機関投資家はより整備された市場インフラと明確なルールを求めるため、これが規制当局による適切な枠組み作りを後押しし、その結果としてさらに多くの機関投資家が安心して市場に参加できるようになる、という循環です。ビットコインETFへの関心に留まらず、イーサリアムETFの可能性や、NFTやトークン化といった広範なWeb3エコシステムへの関心も高まっており、これは機関投資家が暗号資産の基盤技術とその応用可能性にも着目していることの現れと言えるでしょう。

B. 将来性② ビットコイン半減期と「次のバブル」への期待

ビットコインの将来性を語る上で欠かせない要素の1つが、約4年ごとに訪れる「半減期」です。半減期とは、ビットコインの新規発行枚数が文字通り半分になるイベントであり、過去の半減期後にはビットコイン価格が大きく上昇してきたアノマリー(経験則)が存在することから、「次のバブル」への期待感と密接に結びついています。

ビットコインのマイニング(採掘)を行うマイナーは、新たなブロックを生成する報酬として新規発行されたビットコインを受け取ります。半減期はこのブロック報酬を半減させるものであり、ビットコインのプログラムにあらかじめ組み込まれています。ビットコインの発行上限は2,100万枚と定められており、半減期を経るごとに新規供給のペースが鈍化し、その希少性が高まるように設計されています。この供給量の減少が、需要が一定または増加すれば価格を押し上げるという経済の基本原則に基づいて、価格上昇への期待を生み出しています。

ビットコイン半減期イベントと価格への影響

半減期イベント発生日(おおよそ)ブロック番号半減期前の報酬 (BTC)半減期後の報酬 (BTC)半減期約1年前の価格半減期時の価格半減期約1年後の価格価格上昇率(半減期時→1年後)
第1回2012年11月28日210,0005025約2ドル約12ドル約1,000ドル約80倍
第2回2016年7月9日420,0002512.5約270ドル約650ドル約2,500ドル約3.8倍 (最高値は約2万ドル)
第3回2020年5月11日630,00012.56.25約7,000ドル約8,800ドル約58,000ドル約6.6倍 (最高値は約6.9万ドル)
第4回2024年4月20日840,0006.253.125約28,000ドル約64,000ドル--

参考:ビットコイン(BTC)半減期カウントダウン|SBI VCトレード|暗号資産(仮想通貨)・口座開設
価格は概算であり、時期や取引所により異なります。

過去3回の半減期(2012年、2016年、2020年)では、いずれも半減期後に顕著な価格上昇が見られました。とくに、半減期を迎えた後の1年間は、半減期前の1年間と比較して、より強い価格上昇トレンドが確認されています。この歴史的なパターンから、多くの投資家や市場アナリストは、次回の半減期(2024年に発生済み)後も同様の価格上昇が起こるのではないかと期待しています。

ただし、半減期が価格に与える影響は、供給量の変化だけでは説明できません。過去の半減期サイクルは、世界的な金融緩和政策と時期を同じくしていたという指摘もあります。たとえば、2012年の半減期前にはアメリカで量的緩和第3弾(QE3)が、2020年の半減期後には新型コロナウイルス対策としての第四次量的緩和(QE4)が実施され、市場に大量の資金が供給されました。このようなマクロ経済環境が、リスク資産への投資意欲を高め、ビットコイン価格の上昇を増幅させた可能性が考えられます。

また、半減期はマイナーの行動にも影響を与えます。報酬が半減することで収益性が悪化するため、採掘コストの高い非効率なマイナーは市場からの撤退を余儀なくされたり、あるいは保有するビットコインを売却して運転資金を確保しようとしたりする可能性があります。これが短期的な売り圧力となることも考えられます。

半減期による「供給ショック」の物語は強力ですが、ビットコインの総発行済み枚数が増加するにつれて、各半減期が新規供給量に与える相対的なインパクトは徐々に小さくなっています。2024年2月時点で、ビットコインの最大発行数量2,100万枚のうち約93.47%がすでに発行済みであると報告されており、今後の半減期における新規供給量の減少が全体に与える影響は、過去の半減期ほど大きくならない可能性も考慮に入れる必要があります。

したがって、半減期は依然としてビットコイン市場における重要な強気材料の1つですが、その影響を評価する際には、マクロ経済の動向、規制環境、技術革新、そして市場参加者の心理など、他の多くの要因も総合的に考慮することが不可欠です。

C. 将来性③ ビットコインは本当に「1億円」になる?価値の保存手段としての役割

「ビットコインは将来1億円になる」といった大胆な価格予測は、しばしばビットコインが「デジタルゴールド」としての地位を確立し、究極の価値保存手段として広く認識されるという期待に基づいています。金(ゴールド)が数千年にわたり価値保存の役割を担ってきたように、ビットコインもその特性から同様の役割を果たす可能性が指摘されています。

ビットコインが「デジタルゴールド」と称される主な理由は以下の通りです。

しかし、ビットコインが「デジタルゴールド」として完全に認知されるには、まだいくつかの課題や反論が存在します。最大の課題は、依然として価格変動が大きいことです。金が比較的安定した価値の保存手段として認識されているのに対し、ビットコインの価格は短期間に大きく変動するため、とくに短期的な価値保存手段としては信頼性に欠けるという意見があります。また、ビットコイン自体は株式の配当や不動産の賃料収入のようなインカムゲイン(利息や収益)を生み出さないため、これを価値がないとする見方もあります。さらに、市場が不安定な時期には、ビットコインが金のような安全資産として機能するのではなく、むしろ株式などのリスク資産と同様の値動きを示す傾向も見られ、インフレヘッジとしての有効性に疑問を呈する声もあります。著名な金支持者であるピーター・シフ氏は、ビットコインが金に対して史上最高値を更新できていないことを根拠に、「デジタルゴールド」という主張に懐疑的な見解を示しています。

「デジタルゴールド」という物語は、まだ市場によって定義され、検証されている途上にあると言えます。その希少性という根拠は強力ですが、インフレヘッジや安全資産としての実績はまだ一貫性がなく、投資家の認識も変化する可能性があります。一方で、ビットコインの魅力の一部は、デジタルネイティブな若い世代の投資家が、物理的な金よりもデジタルでアクセスしやすく、送金も容易なビットコインを直感的な価値保存手段として捉えている点にあるかもしれません。

ビットコインが真に「デジタルゴールド」としての地位を確立し、「1億円」といった高価格帯に到達するためには、長期的にボラティリティが低下し、市場のストレス時にもリスク資産との相関を弱め、安定した価値保存機能を発揮することが求められます。機関投資家の継続的な参入や規制の明確化も、この成熟プロセスにおいて不可欠な要素となるでしょう。「1億円」という目標価格は依然として高い投機性を伴いますが、もし「デジタルゴールド」というテーゼが完全に実現した場合の潜在的な価値を示す1つのベンチマークとして機能しています。

D. 将来性④ Web3・メタバースの基盤技術としてのイーサリアム

ビットコインが「価値の保存手段」としての側面に注目が集まる一方で、暗号資産のもう1つの大きな将来性は、新しいインターネットの形である「Web3」や、仮想空間「メタバース」の基盤技術としての役割にあります。この分野で中心的な役割を担っているのが、スマートコントラクト機能を持つイーサリアムです。

Web3とは、ブロックチェーン技術を基盤とし、中央集権的な管理者(巨大プラットフォーマーなど)を介さずに、ユーザー自身がデータを所有・管理し、個人間で直接価値を交換できる、より分散化されたインターネットの概念です。イーサリアムの最大の特徴である「スマートコントラクト」は、あらかじめ設定されたルールにしたがって契約や取引を自動的に実行するプログラムであり、この機能がWeb3のさまざまなアプリケーションを実現する上で不可欠なものとなっています。

イーサリアムが基盤となる主なユースケースには、以下のようなものがあります。

イーサリアムがスマートコントラクトの分野で早期に主導権を握ったことは、強力な「ネットワーク効果」を生み出しています。より多くの開発者がイーサリアム上でアプリケーションを構築することで、より多くのユーザーが集まり、それがさらに多くの開発者を引きつけるという好循環です。この確立されたエコシステム、開発ツール、そして活発なコミュニティは、他のプラットフォームが追随する上での大きな参入障壁となっています。

ビットコインが主に「価値の保存」という側面に価値を見出されているのに対し、イーサリアムの価値は、その上で展開されるアプリケーション(DApps)、DeFiプロトコル、NFT市場といったエコシステム全体の経済活動の活発さと密接に結びついています。これらのサービスを利用するためには、ガス代としてイーサリアム(ETH)が必要となるため、Web3、DeFi、NFTといった分野が成長すればするほど、ETHへの需要も高まり、その価値と実用性が向上すると期待されます。

イーサリアムの将来は、ビットコインと「通貨」として競合するというよりも、分散型インターネットの基盤となる決済・アプリケーションレイヤーとしての地位を確立できるかどうかにかかっています。そのためには、スケーラビリティ問題の克服(次節で詳述)、セキュリティの維持、そしてエコシステム内での継続的なイノベーションが不可欠です。もしWeb3がその潜在能力のほんの一部でも実現するならば、イーサリアムはその中心的な受益者となる可能性を秘めています。

E. 将来性⑤ 技術革新で環境・技術問題を克服する動き

暗号資産が抱える大きな課題として指摘されてきた環境負荷(とくに電力消費)や技術的な限界(スケーラビリティ問題)に対して、業界全体で活発な技術革新が進められており、これらの問題を克服しようとする動きが将来への期待を高めています。

環境問題への取り組み:

技術的課題(スケーラビリティ)への取り組み:

PoWとPoSの比較

特徴プルーフ・オブ・ワーク (PoW)プルーフ・オブ・ステーク (PoS)
エネルギー消費非常に高い大幅に低い
セキュリティ機構計算能力(ハッシュパワー)による競争保有する暗号資産の量(ステーク)に基づく
バリデーター要件高性能なマイニング機器、大量の電力一定量の暗号資産の保有
中央集権化リスクマイニングプールの集中化、ASIC製造業者の寡占化の可能性大口保有者による影響力増大の可能性
代表例ビットコイン、ライトコイン、モネロイーサリアム(マージ後)、カルダノ、ソラナ、ポルカドット

参考:[No.74]イーサリアムは歴史的なアップグレード「Merge」を完了、省エネなブロックチェーンに進化し二酸化炭素排出量が激減、暗号通貨が再評価され本格的に普及するか | GDEP Solutions

主要なレイヤー2ソリューションの概要 (イーサリアム)

L2ソリューション名基盤技術主なL1ブロックチェーン主な利点(速度、コスト削減)主な潜在的欠点
OptimismOptimistic Rollupイーサリアム高速処理、ガス代大幅削減、EVM互換性出金時の待機期間(約7日間)、ある程度の集権性リスク
ArbitrumOptimistic Rollupイーサリアム高速処理、ガス代大幅削減、EVM互換性、より多くのトランザクション出金時の待機期間(約7日間)、ある程度の集権性リスク
Polygon PoS Chainサイドチェーン (PoS)イーサリアム非常に高速、低コスト、成熟したエコシステムイーサリアム本体とは異なるセキュリティモデル、バリデーターの分散性
zkSync EraZK-Rollupイーサリアム高速処理、低コスト、EVM互換性、強力なセキュリティ(ゼロ知識証明)技術の複雑性、比較的新しいエコシステム

参考:暗号資産のレイヤー2(Layer 2)とは?Ethereumの進化を支える技術を紐解く - FinTechカタログ

これらの技術革新は、暗号資産が直面する根本的な課題に対して、業界が積極的に解決策を模索し続けていることを示しています。スケーラビリティと効率性を巡るこの「軍拡競争」とも言える状況は、各ブロックチェーンプロジェクトが適応し、改善し続けるインセンティブとなっています。ただし、レイヤー2ソリューションは、それ自体が新たな複雑性やトレードオフ(たとえば、Optimistic Rollupにおける出金遅延 38 や、運営主体による潜在的な中央集権化リスク)をもたらす可能性も認識しておく必要があります。これらの解決策が真に効果を発揮するためには、技術的な成熟とユーザーにとってシームレスな統合が不可欠です。

それでも、環境問題への配慮や技術的限界の克服に向けた継続的な努力は、暗号資産の長期的な存続可能性と主流への普及にとって、極めて重要な前向きな兆候と言えるでしょう。

F. 将来性⑥ 「これから伸びる」優良銘柄の見分け方(将来性ランキングの活用法)

暗号資産市場には数え切れないほどの銘柄が存在し、「これから伸びる」可能性を秘めた優良なプロジェクトを見つけ出すことは、多くの投資家にとって大きな関心事です。インターネット上にはさまざまな「将来性ランキング」が存在しますが、これらを鵜呑みにするのは非常に危険です。ランキングは参考情報の1つに過ぎず、真に将来性のある暗号資産を見極めるためには、より深く、多角的な視点からの分析が不可欠です。

将来性のある暗号資産プロジェクトを評価するための主要な指標と着眼点は以下の通りです。

暗号資産プロジェクト評価のための主要指標

評価指標説明将来性にとっての重要性注意すべき点(レッドフラッグ)
時価総額/FDV市場における現在の評価額/将来的な最大供給量を考慮した評価額市場の信頼度、安定性、成長余地の指標極端に低い時価総額(詐欺リスク)、FDVと時価総額の著しい乖離(将来の売り圧力)
取引量一定期間内に取引された数量市場の関心度、流動性の高さ(売買のしやすさ)取引量が極端に少ない、特定の取引所に集中しすぎている
ホワイトペーパープロジェクトの目的、技術、トークノミクス、ロードマップなどを記述した文書プロジェクトのビジョン、実現可能性、経済モデルの健全性を示す内容が曖昧、非現実的、他のプロジェクトの模倣、トークノミクスが不明確
開発チームプロジェクトを推進するチームの経験、専門性、透明性プロジェクトの実行能力、信頼性、長期的なコミットメントの指標チームメンバーの匿名性が高い、実績が不明、過去に問題のあるプロジェクトに関与
コミュニティ活動SNS、フォーラムなどでのユーザーの活動量、議論の質、サポート体制プロジェクトへの関心度、ユーザー基盤の強さ、フィードバックループの機能コミュニティが不活発、過度な価格煽りや非建設的な議論が多い
実世界のユースケースプロジェクトが解決しようとする具体的な問題、提供する実用的な価値持続的な需要と成長の源泉ユースケースが不明確、ニッチすぎる、既存のソリューションに対する優位性がない
技術プロジェクトを支えるブロックチェーン技術、コンセンサスアルゴリズム、革新性スケーラビリティ、セキュリティ、効率性、将来の拡張性技術的な実現可能性が低い、セキュリティ上の脆弱性が指摘されている、時代遅れの技術
トークノミクストークンの発行、配布、用途、インセンティブ設計など経済システムトークン価値の持続性、エコシステム参加者へのインセンティブ、需給バランス初期保有者の割合が極端に高い、インフレ率が高すぎる、トークンの使い道が限定的
主要取引所への上場信頼性の高い取引所で取引可能かどうか一定の審査を通過した証、流動性の確保、投資家アクセスの容易さ無名または信頼性の低い取引所にしか上場していない

参考:アルトコインとは?有名なアルトコインの特徴・見分け方を解説 | Coincheck(コインチェック)

「実用性」という指標は、時代と共にその意味合いが変化しうる点に注意が必要です。初期の暗号資産にとっては単純な決済機能が重要でしたが、現在では複雑なDeFiアプリケーションの実現や、メタバース経済圏の構築といった、より高度な機能性が求められるようになっています。投資家は、プロジェクトが現代社会の真の課題を解決しようとしているか、あるいは新しい需要を喚起する革新的な機能を提供しているかを見極める必要があります。

また、ホワイトペーパーはプロジェクトをもっとも良く見せるためのマーケティング資料としての側面も持つことを理解しておくべきです。そこに書かれた内容を鵜呑みにせず、主張の裏付けを確認し、チームの実行能力を客観的に評価し、可能であれば第三者による独立した分析や評価も参考にすることが賢明です。

将来性のある暗号資産を見つけ出す作業は、単なるランキングの確認や短期的な価格変動の追跡に留まらず、技術、経済、市場動向、そしてプロジェクトチームの質といった多岐にわたる要素を総合的に分析する、複雑で時間のかかるプロセスです。とくに規制が未整備な分野では、情報の非対称性や誤情報も多いため、徹底したデューデリジェンス(投資対象の精査)が何よりも重要となります。

III. 暗号資産は将来性ない?疑問を総括

当記事では、暗号資産の将来性について、懐疑的な見方と肯定的な見方の双方から詳細に検討してきました。結論として、暗号資産の未来は一筋縄ではいかず、多くの不確実性を内包しているものの、無視できない可能性も秘めていると言えます。

A. リスクと可能性の均衡

暗号資産が抱えるリスクは依然として大きく、深刻です。本源的価値の不在に起因する極端な価格変動(ボラティリティ)[I.A]、後を絶たないハッキングや詐欺、そしてマネーロンダリングといった犯罪への利用、世界的な規制強化の動向とその不確実性 [I.C]、スケーラビリティやユーザービリティといった技術的な課題、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)型暗号資産の環境負荷 [I.E]、そして大多数の「草コイン」が無価値になるという厳しい現実 [I.F]。これらの課題は、暗号資産の健全な発展と社会への普及を妨げる大きな要因となっています。

一方で、これらの懸念を打ち消し、明るい未来を示唆する動きも力強く進行しています。大手金融機関や企業の市場参入による信頼性の向上と資金流入 [II.A]、ビットコインの半減期のようなプログラムされた供給削減メカニズムとそれに伴う価格上昇への期待、「デジタルゴールド」としての価値保存手段への期待 [II.C]、イーサリアムを中心としたWeb3やメタバースといった新しいデジタル経済圏の基盤技術としての役割、そして環境問題や技術的課題を克服しようとする絶え間ない技術革新 [II.E]。これらは、暗号資産が単なる投機対象を超えて、社会に変革をもたらす可能性を秘めていることを示唆しています。

この高いリスクと高い潜在的リターンの両極端な側面こそが、現在の暗号資産市場を特徴づけています。すべての暗号資産が一様に成功するわけではなく、ビットコインが目指す価値保存手段としての未来と、イーサリアムが切り開こうとする分散型アプリケーションプラットフォームとしての未来、そしてその他無数のアルトコインが描く未来は、それぞれ大きく異なります。

B. 長期的視点とデューデリジェンスの重要性

暗号資産への関与を考える上でもっとも重要なのは、これが短期的に大きな利益を約束する「一攫千金」の手段ではないという認識です。もし仮に持続的な成功を収めるプロジェクトが存在するとしても、その価値が市場に広く認識され、技術が成熟するには長い時間が必要です。その過程では、幾度となく大きな価格変動や市場の混乱を経験する可能性が高いでしょう。したがって、長期的な視点を持ち、短期的なノイズに惑わされずに本質を見極める姿勢が求められます。

そして、何よりも不可欠なのが、徹底的なデューデリジェンス(投資対象の精査)です [II.F参照]。投資を検討する暗号資産がどのような技術に基づき、どのような問題を解決しようとしているのか、そのトークンエコノミクスは健全か、開発チームは信頼できるのか、コミュニティは活発かといった点を、自身で深く調査し理解する必要があります。ランキングや他人の意見を鵜呑みにせず、批判的な思考を持って情報を吟味することが、リスクを回避し、将来性のあるプロジェクトを見抜くための鍵となります。

また、暗号資産市場のボラティリティの高さを考慮すれば、投資はあくまで自己責任であり、失っても生活に支障のない範囲の資金で行うべきです。分散投資はリスクを軽減する1つの戦略となり得ますが、それ自体が損失を完全に防ぐものではありません。

C. 変わり続ける状況に対する結論的考察

「暗号資産に将来性はあるのか」という問いに対する単純な答えは存在しません。一部のプロジェクトは間違いなく失敗し、市場から姿を消すでしょう。しかし、同時に、いくつかのプロジェクトは技術的な課題を克服し、社会的な受容性を高め、未来の金融システムやデジタル社会において不可欠な役割を果たすまでに成長するかもしれません。

ここで重要なのは、暗号資産という「資産」そのものの将来性と、その基盤となる「ブロックチェーン技術」の将来性を区別して考えることです。個々の暗号資産の価格がどうなるかは予測困難な部分が大きいですが、ブロックチェーン技術自体は、金融、サプライチェーン、コンテンツ管理、ガバナンスなど、さまざまな分野で革新をもたらす潜在力を秘めており、その影響は長期的に見て広範囲に及ぶ可能性が高いと考えられます。

暗号資産市場はまだ黎明期から成長期への過渡期にあり、急速な変化と進化を続けています。新しい技術、予期せぬ規制の変更、マクロ経済の動向、そして市場参加者の心理の変化など、多くの要因が複雑に絡み合いながら、その未来を形作っていくでしょう。

現在の暗号資産市場が直面しているさまざまな課題は、ある種の「グレートフィルター(大きな篩)」として機能していると捉えることができます。規制の壁、スケーラビリティの限界、セキュリティの脅威、そして実用性の証明といったハードルを乗り越えられたプロジェクトだけが、真に価値あるものとして生き残り、発展していくでしょう。このプロセスは、新しい技術や金融エコシステムにおける自然淘汰の過程とも言えます。

この進化の過程は、技術開発、市場の受容(個人投資家と機関投資家の双方による)、そして規制環境という三つの要素が複雑に相互作用しながら進行します。技術革新が実用的なアプリケーションを生み出し、それが市場に受け入れられ、さらに適切な規制が整備されるという好循環が生まれれば、暗号資産市場は健全な成長を遂げるでしょう。逆に、これらの要素が負の相互作用(たとえば、有望な技術に対する過度な規制など)を起こせば、その発展は大きく阻害される可能性があります。

最終的に、暗号資産の世界は、質の高いプロジェクトと、投機的あるいは失敗に終わる多くのベンチャーとに二極化していく可能性が高いと考えられます。投資家にとっては、この二極化の中で、真に価値のあるプロジェクトを見極める洞察力と、変化し続ける市場環境に適応していく柔軟性が、これまで以上に求められることになるでしょう。依然として大きなリスクは存在しますが、それを乗り越えるだけの技術革新と社会実装への動きも着実に進んでいるため、暗号資産の一部は未来の基盤技術となる可能性を秘めていると言えます。リスクを十分に理解した上で、長期的な視点を持ち、慎重かつ情報に基づいたアプローチを採ることが、このダイナミックな市場と向き合う上でもっとも重要な姿勢です。

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