暗号資産はどこで買うべき?初心者にもわかる始め方からオススメ取引所まで徹底解説

暗号資産(仮想通貨)への関心が高まる中、「どこで買えばいいのだろう?」という疑問を持つ初心者の方も多いのではないでしょうか。当記事では、暗号資産の購入窓口である「取引所」と「販売所」の違いから、ご自身の投資スタイルに合った選び方、さらには2025年を見据えたオススメの国内暗号資産交換業者、そしてもっとも重要なセキュリティに関する注意点まで、専門的な観点からわかりやすく解説します。
目次を表示
I. 暗号資産購入の基礎知識:どこで買える?₿

暗号資産投資を始めるにあたり、まず理解すべきは、どこで暗号資産を購入できるのか、という基本的な点です。主な購入窓口とそれぞれの特徴を把握することが、賢い第一歩となります。
- A. 購入窓口は「取引所」と「販売所」の2種類
- B. 「取引所」と「販売所」の具体的な違いとは?
A. 購入窓口は「取引所」と「販売所」の2種類₿
日本国内で暗号資産を購入する主な窓口は、金融庁に登録された暗号資産交換業者が提供する「取引所」と「販売所」の2つの形態です。これらの言葉は似ていますが、その仕組みや特性は大きく異なります。どちらを選ぶかによって、取引コストや利便性、価格の決まり方などが変わってくるため、それぞれの違いを正確に理解することが重要です。
B. 「取引所」と「販売所」の具体的な違いとは?₿
「取引所」と「販売所」は、取引の相手方、価格決定のメカニズム、手数料体系、そして操作性において明確な違いがあります。これらの違いを具体的に見ていきましょう。
1. 取引相手と価格決定の仕組み₿
販売所:
販売所では、投資家は暗号資産交換業者を直接の相手方として暗号資産を売買します。業者が提示する購入価格と売却価格に基づいて取引が行われるため、価格は業者が決定権を持ちます。この方式の大きな特徴は、提示された価格で比較的確実に、そして迅速に取引が成立しやすい点です。初心者にとっては、価格が固定されているため、安心して取引しやすい側面があります。
取引所:
取引所では、投資家は他の投資家と直接暗号資産を売買します。株式市場のように「板」と呼ばれる注文ブックが存在し、そこには他の投資家が出している「買いたい価格(数量)」と「売りたい価格(数量)」が一覧で表示されています。買い手と売り手の希望価格と数量が一致したときに取引が成立するオークション形式が一般的です。価格は市場の需要と供給のバランスによってリアルタイムに変動します。暗号資産交換業者は、この取引の場を提供する仲介役として機能し、手数料を得る仕組みです。
2. 手数料体系:「スプレッド」と取引手数料₿
暗号資産取引におけるコストは、利益に直結する重要な要素です。「販売所」と「取引所」では、手数料の概念が異なります。
販売所:
販売所の多くは「取引手数料無料」と謳っていますが、実質的なコストとして「スプレッド」が存在します。スプレッドとは、業者が提示する購入価格と売却価格の差額のことです。たとえば、ある暗号資産の購入価格が105円、売却価格が100円の場合、スプレッドは5円となります。このスプレッドが販売所の利益源であり、投資家にとっては事実上の取引コストとなります。一般的に、販売所のスプレッドは、取引所の取引手数料と比較して広めに設定される傾向があります。そのため、「取引手数料無料」という言葉だけに注目するのではなく、このスプレッド幅を意識することが、販売所を利用する上での重要なポイントです。とくに初心者は「無料」という言葉に引かれがちですが、スプレッドが実質的な手数料として機能していることを理解しなければ、想定外のコストを支払う可能性があります。
取引所:
取引所では、取引が成立するごとに「取引手数料」が発生します。この手数料率は、利用する暗号資産交換業者や月間の取引量などによって変動します。また、取引所では「メイカー(Maker)」と「テイカー(Taker)」という概念で手数料が区別されることがあります。メイカーとは、板にない新しい価格で注文を出し、取引の流動性を提供するユーザーを指します。一方、テイカーとは、板にすでに出ている注文に応じて取引を成立させるユーザーを指します。一般的に、市場に流動性を提供するメイカーの手数料は、テイカーの手数料よりも安く設定されるか、場合によってはマイナス手数料(取引すると手数料がもらえる)となることもあります。
3. 操作性と価格変動リスク₿
販売所:
販売所の取引画面は、一般的にシンプルで直感的に操作できるように設計されています。購入したい暗号資産を選び、数量または金額を指定するだけで取引が完了するため、初心者にとっては非常にわかりやすいと言えるでしょう。また、業者が提示する価格で取引が成立するため、価格の急変動で購入できないといったリスクは低いですが、その価格にはスプレッドが含まれています。
取引所:
取引所では、「指値注文(希望する価格を指定する注文)」や「成行注文(現在の市場価格で即時に取引する注文)」など、より多様な注文方法が利用できます。そのため、販売所に比べると操作がやや複雑に感じられるかもしれません。また、取引は他の投資家との間で成立するため、とくに指値注文の場合は、希望する価格で即座に約定するとは限りません。市場価格は常に変動しており、注文が成立するまでの間に価格が不利な方向に動く「スリッページ」という現象が発生する可能性もあります。これは、とくに市場の変動性が高い時や、流動性の低い銘柄、大量の注文を出す際に顕著になることがあります。販売所では業者が価格を提示するため、このようなスリッページのリスクは基本的にありませんが、取引所では価格の有利性を追求できる反面、このようなリスクも考慮する必要があります。
II. 「取引所」と「販売所」:あなたに最適なのはどっち?₿

「取引所」と「販売所」のどちらを選ぶべきかは、投資家の目的、経験、リスク許容度によって異なります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自身のスタイルに合った方を選ぶことが重要です。
- A. コスト重視なら「取引所」、手軽さや確実性を求めるなら「販売所」
- B. メリット・デメリット比較
A. コスト重視なら「取引所」、手軽さや確実性を求めるなら「販売所」₿
一般的に、取引コストを最優先するならば「取引所」、操作の簡単さや取引の確実性を重視するならば「販売所」が適していると言えます。
取引所が向いている人:
- 取引コストを可能な限り抑えたいと考えている方。
- 板取引の仕組みや指値注文といった取引方法を学ぶ意欲がある方。
- 特定の価格で購入・売却したいという明確な意向がある方。
- 頻繁に取引を行う可能性がある方(ただし、その場合でも手数料と価格変動リスクの管理は不可欠です)。
販売所が向いている人:
- 暗号資産取引がはじめてで、とにかく簡単に購入プロセスを済ませたい方。
- 複雑な操作や専門用語に不安を感じる方。
- 提示された価格で確実に取引を成立させたい方。
- 主に長期保有を目的としており、多少のコスト差よりも手軽さや迅速性を優先する方。
B. メリット・デメリット比較₿
それぞれのメリット・デメリットを整理すると以下のようになります。
販売所:
- メリット:
- 操作画面がシンプルで、初心者でも直感的に売買しやすい。
- 暗号資産交換業者が提示する価格で、確実に購入・売却が可能。
- 注文後、比較的速やかに取引が成立しやすい。
- デメリット:
- スプレッドが広く設定されているため、実質的な取引コストが高くなる傾向がある。この「手軽さの代償」としてのコストは、とくに頻繁な取引や大きな金額の取引では無視できない影響を与える可能性がある。
- 取引価格は業者が決定するため、必ずしもその時点での市場における最良価格とは限らない。
取引所:
- メリット:
- 販売所のスプレッドと比較して、取引手数料の方がコストを低く抑えられる可能性が高い。
- 指値注文を利用することで、自分の希望する価格で取引ができる。
- 市場の需給に基づいて価格が形成されるため、価格決定プロセスが透明である。
- メイカーとして取引板に流動性を提供する場合、手数料が割引されたり、逆に報酬として手数料を受け取れたりすることがある。
- デメリット:
- 販売所に比べて注文方法が多様で、操作に慣れが必要な場合がある。
- 買い手と売り手の注文が一致してはじめて取引が成立するため、希望する価格やタイミングで必ずしも約定するとは限らない。とくに流動性が低い銘柄や時間帯では、この傾向が強まることがある。流動性が低いと、実質的なスプレッド(最良買い気配と最良売り気配の差)が取引所形式であっても広がることがあり、期待したコストメリットが得られない場合も考慮に入れるべき。
- 市場価格の変動を直接受けるため、価格変動リスクが大きい。
III. 【2025年最新】目的別!オススメ暗号資産取引所・販売所ランキング₿

国内には多数の暗号資産交換業者が存在し、それぞれ特徴が異なります。ここでは、2025年を見据え、初心者の方向け、手数料の安さ、取扱銘柄の多さといった目的別に、オススメの暗号資産取引所・販売所を紹介します。ただし、「ランキング」という形式ではありますが、最適な選択は個々のニーズに大きく左右されるため、あくまで参考としてご活用ください。
特記事項:DMM Bitcoinは2025年3月8日をもってサービスを終了し、顧客資産はSBI VCトレードへ移管されました。したがって、DMM Bitcoinは以下の推奨リストには含まれません。また、市場の動向は非常に速いため、常に最新情報を確認することが重要です。たとえば、Binance Japanが金融庁登録業者として国内サービスを開始したことは、選択肢の1つとして注目されます。
A. 初心者にオススメの取引所
B. 手数料の安さで選ぶなら
C. 取扱銘柄の多さで比較
表1: 【2025年版】国内主要暗号資産取引所の特徴比較
A. 初心者にオススメの取引所₿
操作の分かりやすさ、少額からの始めやすさ、サポート体制などを考慮し、初心者の方が安心して利用開始できる取引所を選びました。
Coincheck (コインチェック):
- 理由: スマートフォンアプリのダウンロード数が多く、国内で広く利用されています。ユーザーインターフェイスが直感的で、初心者でも操作に迷いにくいと評価されています。ビットコインであれば500円程度の少額から購入可能で、気軽に始めやすい点も魅力です。
- サポート: ヘルプセンターが充実しており、問い合わせフォームも用意されています。
bitFlyer (ビットフライヤー):
- 理由: 国内最大手の1つとして長年の実績があり、セキュリティ体制にも定評があります(創業以来ハッキング被害ゼロを強調)。ビットコインなどの主要銘柄を1円から購入できるため、非常に少額から試してみたい初心者にも適しています。初心者向けの取引ガイドや、毎月一定額を自動で購入する積立サービスも提供しています。
- サポート: 詳細なFAQに加え、平日日中には電話窓口も利用可能で、問い合わせフォームも設置されています。
GMOコイン (GMOコイン):
- 理由: 日本円の即時入金手数料や出金手数料、暗号資産の送金手数料など、各種手数料が無料となっている項目が多いのが特徴です。これにより、取引コスト以外の費用を抑えやすくなっています。初心者向けの取引ガイドや、実際の資金を使わずに取引を体験できるデモトレード(シミュレーター)も提供しており、学習しながら始められます。スマートフォンアプリもシンプルな操作性を重視しています。
- サポート: FAQが整備されており、問い合わせフォームによるサポートが受けられます。
B. 手数料の安さで選ぶなら₿
取引コストを少しでも抑えたい経験者や、頻繁に取引を行う可能性がある方には、以下の取引所が候補となります。とくに取引所形式でのメイカー手数料に注目です。
C. 取扱銘柄の多さで比較₿
ビットコインやイーサリアムだけでなく、さまざまなアルトコインに投資したい場合は、取扱銘柄の豊富な取引所を選ぶ必要があります。
- bitbank:42銘柄 (2025年5月時点)
- BitTrade (ビットトレード):42銘柄 (2023年2月末時点のデータと2025年情報より)
- SBI VCトレード:39銘柄 (2025年6月時点)
- bitFlyer:38銘柄 (2024年9月時点のデータより)
- Coincheck:35銘柄 (2025年5月時点)
- Binance Japan:35銘柄
- GMOコイン:28銘柄
取扱銘柄数は常に変動する可能性があるため、口座開設前に必ず公式サイトで最新情報を確認してください。また、単に数が多いだけでなく、自分が取引したい特定の銘柄を取り扱っているかどうかが重要です。
表1: 【2025年版】国内主要暗号資産取引所の特徴比較₿
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取引所名 | 金融庁登録 | 取引所形式 | 販売所形式 | BTC取引手数料(取引所) | BTCスプレッド目安(販売所) | 取扱銘柄数 (目安) | 主なセキュリティ | 初心者向け使いやすさ |
Coincheck | 〇 | 〇 | 〇 | 無料 | 0.1~5.0% | 35 | 2FA, コールドウォレット | ◎ (アプリ高評価) |
bitFlyer | 〇 | 〇 | 〇 | 0.01~0.15% | 非公開 (変動) | 38 | 2FA, コールドウォレット, マルチシグ | ◎ (1円から可能) |
GMOコイン | 〇 | 〇 | 〇 | Maker: -0.01%, Taker: 0.05% | 約4.4% (例) | 28 | 2FA (必須), コールドウォレット, マルチシグ | 〇 (手数料無料多) |
SBI VCトレード | 〇 | 〇 | 〇 | Maker: -0.01%, Taker: 0.05% | 非公開 (変動) | 39 | 2FA, コールドウォレット (SBI基準) | 〇 (各種手数料無料) |
bitbank | 〇 | 〇 | 〇 | Maker: -0.02%, Taker: 0.12% | 非公開 (変動) | 42 | 2FA, コールドウォレット, マルチシグ, ISMS | △ (中上級者向け) |
Binance Japan | 〇 | 〇 | 〇 | 未確認 (変動の可能性) | 未確認 (変動の可能性) | 35 | 2FA, コールドウォレット (グローバル基準) | 〇 (銘柄豊富) |
OKCoin Japan | 〇 | 〇 | 〇 | Maker: 0.07%, Taker: 0.14% (100万円未満) | 比較的狭いとの評価 | 未確認 | 2FA, コールドウォレット | △ (情報少なめ) |
- 注: BTCスプレッドは常に変動します。手数料や取扱銘柄数も変更される可能性があるため、最新情報は各取引所の公式サイトでご確認ください。使いやすさは主観的な評価を含みます。
この比較表は、各取引所の強みや特徴を一覧で把握するための参考となるでしょう。しかし、もっとも重要なのは、ご自身の投資目的やスタイルに合致した取引所を選ぶことです。たとえば、少額から手軽に始めたい初心者はCoincheckやbitFlyerのアプリの使いやすさに魅力を感じるかもしれません。一方で、コストを極限まで抑えたいアクティブトレーダーはGMOコインやSBI VCトレードのマイナス手数料を提供する取引所形式に注目するでしょう。
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IV. 安全性を最重視!信頼できる取引所の選び方と注意点₿

暗号資産はデジタルデータであり、その保管と取引の安全性は極めて重要です。大切な資産を預ける取引所を選ぶ際には、以下の点にとくに注意を払いましょう。
- A. 金融庁登録の確認は必須
- B. セキュリティ対策のチェックポイント
- C. 手数料の透明性と種類
- 表2: 主要取引所の各種手数料比較 (2025年5月時点の参考情報)
- D. 取扱銘柄と流動性
- E. 使いやすさとサポート体制
A. 金融庁登録の確認は必須₿
日本国内で暗号資産交換業を営むためには、資金決済法に基づき、金融庁・財務局への登録が義務付けられています。この登録は、事業者が一定の財務基盤や情報セキュリティ体制、利用者保護体制を整備していることを示す最低限の基準です。金融庁のウェブサイトでは、登録済みの暗号資産交換業者の一覧が公開されていますので、必ず確認しましょう。無登録の海外業者などが日本語で勧誘を行っているケースもありますが、これらの利用はトラブル発生時の法的保護が期待できず、非常に高リスクであるため絶対に避けるべきです。金融庁への登録は、安全な取引所選びの第一歩であり、これを怠ることはできません。
参考:暗号資産交換業者登録一覧
B. セキュリティ対策のチェックポイント₿
金融庁登録は前提条件ですが、それに加えて各取引所がどのようなセキュリティ対策を講じているかを確認することが重要です。
1. 二段階認証 (Two-Factor Authentication - 2FA)₿
二段階認証は、IDとパスワードによる認証に加えて、スマートフォンアプリ(例: Google Authenticator)やSMSで送信される一時的な認証コードを要求するセキュリティ機能です。万が一、IDやパスワードが第三者に漏洩した場合でも、この追加の認証がなければ不正アクセスを防ぐことができます。ログイン時だけでなく、日本円の出金や暗号資産の送付といった重要な操作時には、二段階認証の設定が必須、あるいは強く推奨されている取引所を選びましょう。多くの国内主要取引所では、この機能が提供されています。
2. コールドウォレットでの資産管理₿
コールドウォレットとは、インターネットから完全に隔離された環境で暗号資産を保管する方法です。オンライン上にあるホットウォレットと比較して、ハッキングによる不正流出のリスクを大幅に低減できます。日本の暗号資産交換業者は、顧客から預かった暗号資産の大部分(実務上ほぼすべて)をコールドウォレットで管理することが義務付けられています。この体制が確実に運用されているか、取引所の説明資料などで確認しましょう。主要な国内取引所はコールドウォレットによる資産管理を明言しています。
3. その他セキュリティ体制₿
上記の二点に加えて、以下のようなセキュリティ対策も評価のポイントとなります。
- SSL/TLS暗号化通信:ウェブサイトとの通信を暗号化し、データの盗聴や改ざんを防ぎます。
- 不正侵入検知・防御システム (IDS/IPS):不正なアクセスやサイバー攻撃を検知し、防御するシステムです。
- 顧客資産と会社資産の分別管理:顧客から預かった資産(日本円および暗号資産)と、取引所自身の資産を明確に分けて管理すること。これは法律で義務付けられており、万が一取引所が破綻した場合でも顧客資産が保護されるための重要な措置です。
- マルチシグネチャ(マルチシグ):暗号資産の送付時に複数の署名(秘密鍵)を必要とする技術。単一の秘密鍵が漏洩しても即座に資産が盗まれるリスクを低減します。
- 定期的なセキュリティ診断:外部の専門機関によるセキュリティ脆弱性診断を定期的に受けているか。
- 情報セキュリティマネジメントシステム (ISMS) 認証:ISO/IEC 27001などの国際的なセキュリティ認証を取得しているか。これは、組織的な情報セキュリティ管理体制が確立されていることを示します。
これらのセキュリティ対策は、単に機能がリストアップされているだけでなく、それらがどのように実運用され、継続的に改善されているかが重要です。取引所のセキュリティに関する取り組みの透明性や、過去のインシデント対応なども参考に、総合的に判断する必要があります。
C. 手数料の透明性と種類₿
取引所のウェブサイトには、通常、手数料に関する詳細な情報が掲載されています。取引手数料(取引所形式)、スプレッド(販売所形式)、日本円の入出金手数料、暗号資産の送金(出庫)手数料など、発生しうるすべてのコストを事前に把握しておくことが重要です。一見安く見える取引手数料でも、他の手数料が高額である場合や、スプレッドが非常に広い場合など、「隠れたコスト」が存在する可能性も念頭に置きましょう。
表2: 主要取引所の各種手数料比較 (2025年5月時点の参考情報)₿
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取引所名 | 日本円入金手数料 (銀行振込) | 日本円入金手数料 (クイック入金) | 日本円出金手数料 | 暗号資産送金手数料 (BTC例) | 販売所のBTCスプレッド例 |
Coincheck | 無料 (振込手数料自己負担) | 770円~ | 407円 | 0.0005 BTC~ | 0.1~5.0% |
bitFlyer | 各銀行所定額 | 無料~330円 | 220円~770円 | 0.0004 BTC | 非公開 (変動) |
GMOコイン | 無料 (振込手数料自己負担) | 無料 | 無料 | 無料 | 約4.4% (例) |
SBI VCトレード | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 非公開 (変動) |
bitbank | 無料 (振込手数料自己負担) | 対応なし | 550円~770円 | 0.0006 BTC | 非公開 (変動) |
- 注: 上記は代表的な手数料であり、条件によって異なる場合があります。スプレッドは常に変動します。最新かつ正確な情報は、必ず各取引所の公式サイトでご確認ください。
手数料は、とくに頻繁に取引を行う場合や、日本円・暗号資産の移動が多い場合に、総コストに大きな影響を与えます。ご自身の取引スタイルを考慮し、トータルでコストを抑えられる取引所を選ぶことが賢明です。たとえば、頻繁に日本円を出金するなら出金手数料無料のGMOコインやSBI VCトレードが有利ですし、暗号資産を外部ウォレットに頻繁に送金する場合も同様です。
D. 取扱銘柄と流動性₿
自分が取引したい暗号資産がリストにあるかを確認するのは基本ですが、とくに取引所形式で売買する場合、その銘柄の「流動性」も重要なチェックポイントです。流動性が高いとは、取引量が多く、売買が活発に行われている状態を指します。流動性が高い市場では、希望する価格で比較的スムーズに取引が成立しやすく、大きな注文を出しても価格への影響が少ない傾向があります。逆に流動性が低いと、売買の相手が見つかりにくかったり、わずかな注文で価格が大きく変動したりする可能性があります。ビットコインのような主要銘柄であれば多くの取引所で高い流動性がありますが、アルトコインの場合は取引所によって流動性に差が出ることがあります。各取引所が公表している取引量データ(例:ビットコイン取引量ランキング)なども参考にすると良いでしょう。
E. 使いやすさとサポート体制₿
とくに初心者にとっては、取引所のウェブサイトやスマートフォンアプリの操作性が重要です。直感的で分かりやすいインターフェイスであるか、注文方法が複雑すぎないかなどを確認しましょう。また、取引に関する疑問やトラブルが発生した際に、迅速かつ丁寧なサポートを受けられるかも大切なポイントです。初心者向けのガイドやFAQが充実しているか、問い合わせ手段(メール、チャット、電話など)や対応時間を確認しておきましょう。
セキュリティへの投資は取引所の運営コストに影響を与える可能性があります。極端に手数料が安い取引所が、必ずしもセキュリティ対策を疎かにしているわけではありませんが、利用者としては手数料の安さだけでなく、その取引所がどれだけセキュリティに資源を投入し、透明性のある情報開示を行っているかを総合的に評価する姿勢が求められます。
V. ビットコインを日本で安心して買える代表的な会社₿

これまでの解説を踏まえ、日本国内でビットコインを安心して購入できる代表的な暗号資産交換業者をいくつか紹介します。これらの業者は金融庁への登録はもちろん、セキュリティ対策や初心者向けのサービス提供においても一定の評価があります。ただし、最終的な選択はご自身の判断で行ってください。
Coincheck (コインチェック):
- 特徴: スマートフォンアプリの使いやすさに定評があり、多くの初心者に支持されています。ビットコインは取引所形式であれば取引手数料無料で、500円から購入可能です。
- セキュリティ: 二段階認証、コールドウォレットでの資産管理などが実施されています。
- 購入方法のポイント: 初心者は販売所のシンプルさに惹かれるかもしれませんが、ビットコインのように流動性の高い銘柄であれば、取引所形式(板取引)を利用することでスプレッドコストを抑えられます。
bitFlyer (ビットフライヤー):
- 特徴: 国内での運営実績が長く、信頼性が高いとされています。「創業以来ハッキング被害ゼロ」をアピールするなど、セキュリティを重視しています。ビットコインは1円から購入可能で、非常に少額から始められます。
- セキュリティ: 二段階認証、大部分の資産をコールドウォレットで管理、マルチシグネチャの採用など、多層的な対策を講じています。
- 購入方法のポイント: こちらも取引所形式(bitFlyer Lightning)を利用することで、販売所よりもコストを抑えてビットコインを取引できます。
GMOコイン (GMOコイン):
- 特徴: 日本円の出金手数料や暗号資産の送金手数料が無料であるなど、各種手数料の安さが際立っています。取引所形式ではメイカー注文で手数料がマイナスになるため、コスト意識の高いユーザーに適しています。
- セキュリティ: 重要な操作時の二段階認証が必須であり、コールドウォレットやマルチシグによる資産管理が行われています。
- 購入方法のポイント: ビットコインを取引所形式で、かつメイカーとして注文を出すことで、もっともコスト効率の高い取引が期待できます。
SBI VCトレード:
- 特徴: 大手金融グループであるSBIグループの一員であり、安心感があります。GMOコイン同様、日本円の入出金手数料や暗号資産の入出庫手数料が無料で、取引所形式のメイカー手数料もマイナスです。
- セキュリティ: SBIグループの高いセキュリティ基準に基づいた資産管理が行われているとされています(二段階認証、コールドウォレットは標準装備と推測)。
- 購入方法のポイント: 取引所形式でのメイカー注文がビットコイン購入のコストを抑える鍵となります。
bitbank (ビットバンク):
- 特徴: こちらも取引所形式のメイカー手数料がマイナスで、取引ツールが充実しているため、テクニカル分析などを行いたいトレーダーにも人気があります。
- セキュリティ: ISMS認証を取得しており、コールドウォレットやマルチシグによる厳格な資産管理体制を敷いています。
- 購入方法のポイント: 高機能な取引ツールを活用しつつ、取引所形式でメイカーとしてビットコインを取引することでメリットを享受できます。
これらの取引所はそれぞれに強みがあります。たとえば、アプリの使いやすさを最優先するならCoincheck、とにかくコストを抑えたいならGMOコインやSBI VCトレードの取引所(メイカー)、といったように、ご自身の優先順位に合わせて選ぶとよいでしょう。重要なのは、どの取引所を選ぶにしても、ビットコインのような主要通貨は「販売所」よりも「取引所(板取引)」を利用する方が、スプレッドという実質的なコストを避けられるため、より有利な価格で購入できる可能性が高いという点です。
VI. 【参考】海外の暗号資産取引所について₿

日本の取引所以外にも、世界には数多くの暗号資産取引所が存在します。参考情報として、その概要と利用時の注意点について触れておきます。
- A. 世界の主要な取引所
- B. 利用時の注意点:国内法規制と言語の壁
A. 世界の主要な取引所₿
Binance(バイナンス)、Coinbase(コインベース)、Kraken(クラーケン)などは、世界的に取引量が多く、知名度の高い暗号資産取引所です。これらの取引所は、日本国内の取引所と比較して、取扱銘柄数が非常に多い、あるいは独自のサービスを提供している場合があります。
近年では、これらのグローバルな取引所も日本の規制に対応する動きを見せています。たとえば、Binance Japan(バイナンスジャパン)は、日本の金融庁に登録された暗号資産交換業者として、国内居住者向けにサービスを提供しています。同様に、Coinbase(コインベース)も日本法人を設立し、日本の法律に準拠した形でサービスを展開しており、利用規約で日本居住者であることや年齢条件などを明記しています。
B. 利用時の注意点:国内法規制と言語の壁₿
海外の暗号資産取引所を利用する際には、いくつかの重要な注意点があります。
金融庁未登録の海外業者:
もっとも注意すべきは、日本の金融庁に登録されていない海外取引所の利用です。たとえ日本語のウェブサイトやサポートを提供していても、日本の法律に基づく規制や監督が及んでいません。金融庁は、無登録で日本居住者を相手に暗号資産交換業を行う海外業者に対して警告を発出しています。万が一、このような業者との間で資金の引き出せない、サービスが突然停止するといったトラブルが発生した場合、日本の法制度による保護を十分に受けられない可能性が高く、資産を失うリスクがあります。したがって、日本居住者が海外取引所を利用する場合は、Binance JapanやCoinbaseのように、日本の金融庁に登録されているか、日本の法律に準拠したサービスを提供していることが確認できるプラットフォームを選ぶことが大前提です。
言語とサポート:
金融庁に登録されている海外系の取引所であっても、日本語のサポート体制が国内専業の取引所ほど充実していない場合があります。利用規約や重要な通知が英語で提供されることもあり、言語の壁がトラブル解決を困難にする可能性があります。
税務処理:
海外の取引所で得た利益も、日本の居住者であれば日本の税法にしたがって確定申告し、納税する義務があります。取引履歴の取得方法や書式が国内の取引所と異なる場合があり、税務処理が煩雑になる可能性があります。
規制の違いによるリスク:
海外の取引所は、その本拠地の法律や規制に基づいて運営されています。日本の規制とは異なるAML/CFT(マネーロンダリングおよびテロ資金供与対策)基準や顧客保護ルールが適用されるため、予期せぬリスクに直面する可能性も考慮する必要があります。
これらの点を踏まえ、とくに初心者のうちは、金融庁に登録された国内の暗号資産交換業者を利用する方が、より安心して取引を始められるでしょう。
参考:無登録で暗号資産交換業を行う者の名称等について
VII. 暗号資産取引の始め方:初心者向けステップガイド₿

実際に暗号資産取引を始めるための具体的なステップを解説します。多くの国内取引所で共通する一般的な流れです。
- A. 口座開設の手順
- B. 日本円の入金方法
- C. 暗号資産の購入方法(取引所・販売所別)
A. 口座開設の手順₿
- 取引所を選ぶ:当記事で解説した情報(手数料、取扱銘柄、セキュリティ、使いやすさなど)を参考に、自分に合った暗号資産交換業者を選びます。
- メールアドレス登録・パスワード設定:選んだ取引所の公式サイトにアクセスし、メールアドレスを登録します。その後、ログイン用のパスワードを設定します。
- 基本情報入力:氏名、住所、生年月日、電話番号、職業、年収、投資経験などの基本情報を入力します。
- 本人確認書類の提出:運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの本人確認書類を提出します。近年では、スマートフォンのカメラで本人確認書類と自身の顔写真を撮影してアップロードする「かんたん本人確認」や「eKYC」と呼ばれるオンライン完結型の方法が主流で、これにより口座開設までの時間が大幅に短縮されています。この「かんたん本人確認」を利用すると、最短で申し込み当日に取引を開始できる取引所もあります。
- 取引所による審査:提出された情報に基づいて、取引所が審査を行います。
- 口座開設完了通知・二段階認証設定:審査に通過すると、口座開設完了の通知がメールなどで届きます。その後、セキュリティ強化のために、速やかに二段階認証の設定を行いましょう。
B. 日本円の入金方法₿
口座開設が完了したら、暗号資産を購入するための日本円を入金します。主な入金方法は以下の通りですが、取引所によって対応している方法や手数料が異なります。
- 銀行振込:取引所が指定する銀行口座に、自分の銀行口座から日本円を振り込みます。振込手数料は利用者負担となるのが一般的です。
- インターネットバンキング(クイック入金/ダイレクト入金):提携している金融機関のインターネットバンキングを利用して、ほぼリアルタイムで入金できるサービスです。手数料が無料の場合もあれば、数百円程度かかる場合もあります。
- コンビニ入金:一部の取引所では、コンビニエンスストアの端末を利用して入金できます。手数料は比較的高めになる傾向があります。
入金方法によって、反映までの時間や手数料、1回あたりの入金限度額などが異なるため、事前に確認が必要です。
C. 暗号資産の購入方法(取引所・販売所別)₿
日本円の入金が確認できたら、いよいよ暗号資産の購入です。ここでは、販売所と取引所それぞれの一般的な購入手順を紹介します(操作画面は取引所により異なります)。
販売所での購入例 (bitFlyerの場合):
- 取引所のウェブサイトまたはアプリにログインし、「販売所」のメニューを選択します。
- 購入したい暗号資産(例: ビットコイン)を選びます。
- 購入したい日本円の金額、または購入したい暗号資産の数量を入力します。
- 「買う」や「購入」といったボタンをタップ(クリック)します。
- 注文内容(購入する暗号資産、数量、価格、支払総額など)の確認画面が表示されるので、間違いがないか確認し、「注文を確定する」ボタンをタップ(クリック)します。
- これで購入は完了です。
取引所での購入例 (bitFlyerの場合):
- 取引所のウェブサイトまたはアプリにログインし、「取引所」のメニューを選択します。
- 購入したい暗号資産の取引ペア(例: BTC/JPY)を選びます。取引板(オーダーブック)が表示されます。
- 注文方法を選びます(例: 指値注文、成行注文)。
- 指値注文の場合:購入したい価格(レート)と数量(注文量)を入力します。
- 成行注文の場合:購入したい数量のみを入力します(価格は市場でもっとも有利な価格で約定)。
- 「買い注文」や「買う」といったボタンをタップ(クリック)します。
- 注文内容の確認画面が表示されるので、確認後、「注文する」ボタンをタップ(クリック)します。
- 指値注文の場合、指定した価格で売り注文が出されると約定します。成行注文の場合は、比較的速やかに約定します。
VIII. 初心者が心得るべき投資のポイント₿

暗号資産は魅力的な投資対象である一方、価格変動リスクも伴います。とくに初心者が取引を始める際には、以下の点を心に留めておくことが重要です。
- A. 少額・余剰資金から始める
- B. 長期的な視点と積立投資の検討
A. 少額・余剰資金から始める₿
暗号資産は、時に急激な価格上昇を見せる一方で、大幅な価格下落も起こりうる、非常にボラティリティ(価格変動性)の高い資産です。そのため、投資を始める際には、必ず「余剰資金」で行うことを徹底してください。余剰資金とは、日常生活に必要なお金や、万が一失っても生活に大きな支障が出ない範囲のお金のことです。多くの国内取引所では、ビットコインなどの主要な暗号資産を数百円から1円といった非常に少額から購入できますので、まずはリスクを抑えた金額からスタートし、市場の動きや取引に慣れていくことが賢明です。価格変動の大きさに精神的に対応できるようになるためにも、少額からのスタートは有効です。
B. 長期的な視点と積立投資の検討₿
暗号資産の価格は短期的に大きく変動するため、日々の値動きに一喜一憂してしまうと、冷静な判断が難しくなりがちです。短期的な売買で利益を狙う方法もありますが、とくに初心者にとっては、長期的な視点を持って投資に取り組むことが推奨されます。
その1つの方法として、「積立投資(ドルコスト平均法)」があります。これは、毎月一定額など、定期的に一定金額分の暗号資産を買い続ける投資手法です。価格が高いときには少なく、価格が安いときには多く購入することになるため、平均購入単価を平準化させる効果が期待できます。これにより、一度に高値で大量に購入してしまうリスクを避け、価格変動リスクを時間的に分散させることができます。多くの国内取引所では、この積立投資サービスが提供されており、自動で買い付けを行ってくれるため、手間もかかりません。積立投資は、感情に左右されずに規律ある投資を継続するための行動ツールとしても有効であり、「いつ買えばいいのか」というタイミングの悩みを軽減する効果もあります。
IX. 暗号資産はどこで買うべき?を総括₿

当記事では、暗号資産をどこで買うべきかという疑問に対し、購入窓口の種類、選び方のポイント、具体的な取引所の特徴、そして安全な取引のための注意点を解説してきました。
A. 要点の再確認₿
- 購入窓口の理解:暗号資産は主に「取引所」と「販売所」で購入でき、それぞれコスト構造や操作性が異なります。
- 総合的な比較:取引所を選ぶ際は、手数料(スプレッド含む)、取扱銘柄、操作性、セキュリティ、サポート体制を総合的に比較検討することが重要です。
- 金融庁登録の確認:安全性の観点から、金融庁に登録された暗号資産交換業者を選ぶことが必須です。
- セキュリティ対策の重視:二段階認証の設定、取引所のコールドウォレット管理体制などを確認し、自身の資産を守る意識を持ちましょう。
- 投資の基本姿勢:余剰資金で、少額から始め、リスク管理を徹底することが大切です。
B. 自分に合った選択の重要性₿
暗号資産をどこで買うべきかという問いに対する唯一絶対の「正解」は存在しません。もっとも重要なのは、当記事で提供した情報を参考に、ご自身の投資経験、目的、リスク許容度、重視するポイント(コストか、手軽さか、銘柄の豊富さかなど)を総合的に考慮し、ご自身が納得できる取引所を選ぶことです。
暗号資産の世界は技術革新が速く、市場環境や規制も常に変化しています。DMM Bitcoinのサービス終了とSBI VCトレードへの移管や、Binance Japanのようなグローバル企業による日本市場への本格参入は、その一例です。したがって、一度取引所を選んだ後も、継続的に情報を収集し、学び続ける姿勢が求められます。
また、取引所で暗号資産を購入した後の管理も重要です。取引所のセキュリティに加えて、ご自身のパスワード管理を徹底する、フィッシング詐欺に注意するといった基本的な自衛策はもちろんのこと、長期保有を考えるのであれば、自身で管理するプライベートウォレットへの資産移動も、ある程度知識をつけた上での選択肢として検討に値します。
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